「ポジティブな人」のポジティブとは?
前向きな人を指して「あの人ってポジティブだよね」と表現したり、「ポジティブ」という言葉は私達の生活にすっかり定着しています。
この「positive」の名詞形は「positivity(ポジティビティ)」ですが、それについてポジティブ心理学の主要な研究者の一人であるFredricksonは、「前向きな感情を引き起こす肯定的な意味付け」、「楽観的態度」、「前向きな感情」と定義しています。
そして、「ポジティビティ」は、一時的な快楽や楽しみではなく、生きがい・やりがい・充足感をもたらす、奥深いところにある喜び、感謝、安らぎ、興味、希望、誇り、愉快、鼓舞、畏敬、愛などに根差していると説明します。
あなたが過去に「生きがい・やりがい・充足感」を味わった出来事を思い出してみてください。そこにはどんな感情や思考が存在していたでしょうか。おそらく「ただ楽しかった」「心地よかった」という言葉に集約することができない複雑な要素が存在していたことに気づくはずです。
この「ポジティビティ」について、Fredricksonは、人の変容を促し、新しいあり方、学び方との出会いを可能にし、私達の性格、人間関係、コミュニティ等に長期的な影響を与えると述べています。「ポジティビティ」は、私達を本当の意味で満たし続ける鍵なのです。
では、この「ポジティビティ」、一体どのように育てることができるのでしょうか。ここでは8つの方法をご紹介します:
ポジティビティを育てる8つの方法
①心を開く
好奇心を養い、その瞬間何を経験するかに注意を払う
②質の高い関係をつくる
ダイナミックで、エネルギッシュで、感謝し合える関係性を構築する
③思いやりを養う
自分自身の感情を大事にしながら、肯定的な変化とつながりを生む人に貢献する
④気分転換をする
不健全な動揺を取り除くように努め、自分の中のネガティブ思考の高まりや、破壊的な行動の前触れに意識的になる。
⑤ネガティブ思考に対抗する
自己不振や嫌悪感につながるネガティブ思考に対処するように努める
⑥自己の強みを知り活用する
自己の強みだけでなく、他者の強みを活用する行動にも意識を向ける
⑦感謝を習慣化する
一番感謝する出来事について日々振り返ることを習慣化する
⑧未来を思い浮かべる
将来たどりつきたい場所についてイメージを描く。自己の原動力となる「使命」や人生の目的について振り返る
ここに挙げた一つ一つを実践している過程では、「喜び」を実感することは難しいかもしれません。しかし、粘り強く取り組むことで人生の「質の高まり」を感じ始めるでしょう。そしてある日、それらの積み重ねが、ゆるぎない充足感をもたらしたことに気づくはずです。
———–
参照:
バーバラ・フレドリクソン「ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則」(日本実業出版社, 2010)
スーザン・R・コミベズ、ナンス・ルーカス、ティモシー・R・マクマホン「リーダーシップの探求 ―変化をもたらす理論と実践-」(早稲田大学出版部, 2017)