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2023.08.21

“こころのリファインの結果=ウェルビーイングに”。これまで伝えてきたことが社員に腹落ちするまで

リファインホールディングス株式会社は、 有機溶剤のアップサイクル事業、天然資源・未利用資源循環事業などを行う会社です。
 
現在は「こころのリファイン事業」にも力を入れ、社内のウェルビーイングの向上とともに、人類が持続的に発展できる社会を実現するためのさまざまな取り組みに力を入れてきました。
 
2022年4月、リファインホールディングスは、社内におけるウェルビーイングのさらなる向上を図るため、YeeY共同創業者/代表取締役・島田由香にコンサルティングをご依頼くださいました。本記事では、YeeYにコンサルティングを依頼いただいた背景、参画後の変化について、代表取締役社長・川瀬泰人さんにお話を聞きました。
 
(インタビュアー:YeeY 取締役CBO・高橋ゆき)
 
 

 

川瀬 泰人
1958年岐阜県大垣市で生まれる。 
1980年金沢大学工学部卒業。 
2006年名古屋大学工学研究科にて博士号取得。 
1980年稲畑産業(株)入社、住友製薬(株)を経て1986年千葉蒸溜(現リファインホールディングス(株))入社、2003年より代表取締役社長。 
座右の銘=「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」~上杉鷹山~ 
趣味は海釣り、料理、ワイン 

 

社内で伝え続けた「こころのリファイン」

― リファインホールディングス株式会社(以下、リファイン)では、経営理念を「人類が持続的に発展できる社会を実現するために『資源』『環境』『こころ』のリファインを業とし社会に貢献する」と掲げています。社名にもなっている「リファイン」には、どのような由来があるのでしょうか。

 
 
川瀬:リファイン(Refine)にはもともと「磨く」「清める」「洗練する」といった意味があります。弊社では1991年以降「リファイン」を社名に冠し、今日では「溶剤」のみならず農業や漁業の産物で未利用となっている物を「リファイン」し、価値ある資源として社会に循環する事業も行っています。
 
 

― リファインの沿革を見ると、「洗練して上品に磨き上げる」精神が一貫されていらっしゃいますね。リファインでは経営理念のほかにも、目指す企業像、基本方針、行動指針などがあり、とても整った企業のようにも思われます。そこに島田を入れていただけたのはなぜでしょうか?

 
 
川瀬:2016年、当グループが50周年を迎えた際に、「こころのリファイン事業」を創設し、経営理念にも「こころ」を入れました。環境問題や資源枯渇が唱えられる中、相変わらず企業や個人の利益を優先する社会に足りないのは人の「こころ」じゃないかと思ったからです。
 
ところが社員から「『こころのリファイン』の意味がよく分からない」という声が聞こえてきたんです。これまで永く「こころのリファイン」について伝えてきたつもりだったのに、実は社内には思うほど浸透していなかったのです。こころのリファイン事業は社内、社外にウェルビーイングの花を咲かせる事業だということを、ウェルビーイングの先導者である島田さんに客観的な立場から手伝っていただけないかと、お声掛けをしました。
 
 

― 島田との出会いを教えてください。

 
 
川瀬:出会いは2021年に行われた化学工学会主催の「経営ゼミナール」です。化学工学会は、化学のものづくりを担うエンジニアが集まる学術団体です。会員企業の中から優秀な経営者を育成することを目的とした「経営ゼミナール」の講師として委員の一人が島田さんを推薦してくれたことがきっかけとなりました。私はそれまで島田さんを存じ上げなかったのですが、ご講演で心をわしづかみにされて、島田さんの大ファンになってしまいました。
 
 

― 改めて、リファインの掲げる「こころのリファイン」について教えていただけますか。

 
 
川瀬:「ウェルビーイング」は、弊社で言う「こころのリファイン」の結果だと考えています。ビジネスの中でお客様や社会が感動してくれるような結果を出すことができたとき、あるいはそういった環境ができたとき、関係する人たちの「こころ」がすごく豊かになります。そのようなビジネスを当社では「こころのリファイン事業」と定義しています。
 
企業として、このようなビジネス環境を作ること、ひいてはみんながウェルビーイングになる社会の実現がこれからの人類には重要なのではないかと考えています。
 
 

リファインホールディングス株式会社 代表取締役社長・川瀬 泰人 様
 
 

“なんとなく”分かっていたものが、対話を通して腹落ちした

― 2022年4月に島田が参画させていただき、1年3ヶ月が経ちました。この期間に力を入れたテーマ、重点施策などはありますか?

 
 
島田:企業のウェルビーイングを向上させるためには、社長と人事のトップの方がキーパーソンになります。もちろん他のポジションも重要ですが、誰がその場をホールドし、どんな影響力を加えていくかを考えると、やはりリーダーは社長であるべきで、対等に話をする立場として必要なのは人事のトップです。
 
一方で、社長の考えと人事の考えは、必ずしも正しく互いに伝わっているわけではありません。だから、お互いの苦悩、疑問、希望を聞いて、それを正しく伝えながら、ワンチームを作ることに力を注ぎました。
 
 

― 具体的にはどのような取り組みを?

 
 
島田:まず取り組んだのは、「知る」「何でも言える場を作る」の2つです。
 
たとえばわたしが人事のAさんから「昨日こんな出来事があって…」といった話を聞くとき、Aさんは、Aさんの解釈をベースに話をします。さらに、私はAさんの話から私なりの理解・解釈をするので、それらが実際の出来事と一致しているかはわかりません。
 
ですから、それが一致しているかを、いろんな人とコミュニケーションを取って自分なりに確認している。もしも多少のゆがみがあると分かったら、「Aさんはこんな風に理解・解釈したんだな」「わたしはこう捉えてしまっていたいんだな」と考え、それを周囲にもシェアしながら対話を重ねていきました。
 
さらに、「知る」をしながら何でも言える場も作っていきました。言い換えれば「心理的安全性」を作る。たとえば、リファインの人事の方が私に伝えてくれた本音を私が社長にそのまま言ってしまったら、「この人は何でも社長に話してしまう人だ」と信頼を無くしてしまうかもしれません。
 
私自身もリファインの人事チームの一員として、そして人事のプロとして、そのようなことが絶対に起こらないように心がけ、さらに、人事の方とは常にフラットでいるように意識しました。
 
 

YeeY共同創業者/代表取締役・島田 由香
 
 

― 川瀬さんは、島田が入ってから印象的だった出来事や心に残っている対話はありますか?

 
 
川瀬:島田さんに入っていただいてから、人事部全体が見違えるほど明るくなりました。ちょっと前までは暗さもあって、それが社員に伝わってしまう部分もありましたが、今ではまるで違いますね。その理由のひとつに、島田さんとの対話を通して人事のメンバーが「こころのリファイン」の意味がわかってきたということがありそうです。“よくわかっていないけれどいまさら社長には聞けない”、そんなところが、島田さんを通して腹落ちしてきたんでしょうね。
 
島田:「こころのリファインってこうなんだよ」とただ伝えるのではなく、「皆は今どう思っているの?」と対話をしたんですよね。「なんとなく頭ではわかっているけれど100%はわからない」なのか「一切響きません」なのか、私も知りたかったんです。
 
聞いてみたら、皆大体は「こころのリファイン」を分かっていて、でもまだ身体知にはなっていない――つまり、身体に根差していない。だから、ウェルビーイングの観点からアプローチをして、ウェルビーイングとは何なのか、どんな感覚を持てるものなのかを伝えていきました。人事部全体が「なるほど、そういうことなんだ!」となってきたときに、「それって前から『こころのリファイン』って言葉で社内で大切にされているんだよ」と伝えたら「あぁ!」って反応をされて。
 
 

― ウェルビーイングと「こころのリファイン」の関係が見えてきた?

 
 
島田:おっしゃる通りです。もちろん全員と喋ったわけではないので全員が100%腑に落ちたかはわかりませんが、やっぱり聞きなれている言葉だからこそ、しっくりきたときの心への響き方は違うのかなと感じました。
 
川瀬社長は、最初から「こころのリファイン」やウェルビーイングに対してのアンテナが高いから、明確に言葉にしなくてもわかってしまう部分も多いと思います。
 
でも、だからこそ、「こころのリファイン」が自分にとってどういうものなのかをシェアすることが大事だと思っています。ウェルビーイングが、「こころのリファイン」が、そしてそれをシェアする時間がどれほど大切かを人事の方が分かると、人事が社内のいろんなところでやり始めてくれる。「こころのリファイン」について話す機会も増えたのではないかと思います。
 
 

ワクワクするウェルビーイングをもっと

― 今後のチャレンジについて教えてください。

 
 
川瀬:ウェルビーイングを自分自身で感じる。それがすごく大事かなと思っています。たとえば仕事をしているときにも、仕事全体がウェルビーイングに感じられる瞬間があります。でも、それに気づかず過ごしている社員も多いんですよね。
 
ウェルビーイングというと、ゆったりとしたプライベートな時間でしか見出せないものだと思う人もいるのかもしれません。でも本当は、自分の中でいくらでも見つけられる。実践すればできるんです。それをもっと伝えていきたいですね。
 
島田:ぜひ一緒にやりましょう!「ウェルビーイング」と世間でも最近よく言われますが、真髄を捉えないまま言葉だけを使ってしまっている人もいます。川瀬社長のように、ウェルビーイングが自分のものになっている人が、「ウェルビーイングは日々の仕事でも実現できるのだ」と社員一人ひとりに伝えていくのはとても大切ですね。
 
 

― 社員の皆さんに、ウェルビーイングを自分事として体得してほしいと願っている川瀬社長は、本当に素敵ですね。島田はウェルビーイングを「いい感じ」、私は「人生のピントが合っている」と表現しますが、川瀬社長にとって、ウェルビーイングとは?

 
 

YeeY 取締役CBO・高橋 ゆき
 
 
川瀬:ウェルビーイングは、「ワクワク」です。これからも「ウェルビーイング」や「こころのリファイン」は中心に据えたい言葉です。今後事業承継などが進んだ際にも、変わらず真ん中にあり続けてほしいですね。
 
ウェルビーイングの基本は、資源も環境もサステイナブルにしていくことだと思っています。日本国を見ると「本当にできるのかな?」という状況ですが、
少なくとも当社の関わる分野においてはサステイナブルな社会への変革を実現させたいと考えています。
 
現状、エネルギーは地下資源である天然ガス、溶剤も地下資源である石油から作っています。でもエネルギーは既に再生可能エネルギーが使われるようになっていて、溶剤も樹木や藻類からも作れます。これを可能にさせて、併せてリサイクルを行うことでサステイナブルな環境を作ることができます。新たな資源をほとんど投入する事もなく、温暖化ガスの発生も実質的に無くなります。ウェルビーイングで、リジェネラティブ(発展的再生可能)な未来をつくる。それが、リファインの実現したい未来です。
 
 

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